ヨーロッパなどでは横向き寝が中心で、マットレスの説明も横向き寝でされることが多いのですが、日本では仰向け寝が一番多い寝姿勢です。それでは、どのような点に注意して寝具を選ぶべきでしょうか?
立っている状態と同じ姿勢で背骨を支えること
直立して深呼吸をして息をはいたリラックスした状態、その状態の背骨のS字カーブを支えるのが仰向き寝時の理想的な姿勢といわれています。もちろん立っている時と、寝た状態では重力のかかり方が違いますが、基本はこの通りと考えてください。
寝たときに、体圧のかかり方は、頭8%、胸(肩甲骨部分)33%、臀部44%、足15%とされています。つまり、身体で77%8割近くの荷重がかかり、特に骨盤・臀部の圧力が大きいのです。敷布団・マットレスにはある程度の柔らかさと弾力性が必要ですが、使用時間が経つと一番荷重がかかる臀部がへたりやすくなります。
1~2年ならともかく、一般的には敷布団やマットレスは10~15年ぐらい使われることが多いので、長く使ってもへたりにくい=寝姿勢の変化が少ないものが必要です。かつて、敷布団・マットレスは固い方が良いといわれてきました。それは、柔らかい敷布団やマットレスは長く使っているとへたってきて、臀部が落ち込み、身体が「く」の字になるからです。しかし、今日では固いだけでは、快適な睡眠は得られないことがわかっています。
体圧分散と反発の適度なバランスを取る
固い敷布団・マットレスを使っていると、朝起きたときに腰が痛い、というケースがあります。固いために腰の部分のカーブのところで身体に隙間ができ、アーチ状に力がかかるからといわれますが(個人差がもちろんあります)、硬い敷寝具は出っ張った部分に荷重がかかるため、寝返りが増えて睡眠が低下するなどの問題があります。
そこで、身体全体を均等に支える考え方が「体圧分散」です。その典型が低反発ウレタン(ヴィスコエラスティックフォーム)で、宇宙開発で人にかかる重力を分散させるために生まれました。一方で、体圧分散が過ぎると、今度は寝返りがしにくくなります。実際には体圧分散と反発の適度なバランスを取ることが求められます。単純に高反発・低反発どちらが良いという話ではありません。